7つのコラム(認知再構成法)

今日は認知行動療法について話します。
認知行動療法とは、考えと行動にアプローチして気分をより健全なものにしていく療法です。

精神的に行き詰まっている時には考えが極端に偏ったり、億劫になって活動を控えたりするようになります。
簡単に言えば、そういった時に考えの歪みをバランスの良いものにし、行動を通して気分の向上を図っていくというものと言えます。

 

認知行動療法には様々な技法がありますが、しっかりと相手の状態を見極めて技法を選択しないと効果が低くなることは当然あり得ます。
認知行動療法の技法では7つのコラム(認知再構成法)というものが最も有名ですが、杓子定規のように猫も杓子にもこの技法ばかり使っているとなかなかうまくいかないことがあります。

ということで今日は、あがり症の状態によって認知行動療法のどういった技法を使っていけば良いかを説明していきます。

まずは一番メジャーな7つのコラム(認知再構成法)から。
これは認知の歪みが見られる時に有効です。

具体的には、例えば、あがり症の方は人前で話した時に、誰もが気付かないような本人が思うところの失敗を元にもう駄目だ、大失敗だなどと思う所があります。

なので話を終えた後の自己評価と他者評価が大きく異なります。
本人は超緊張した、もう最悪だなどと思っているのが、他の人から見れば何???緊張してたの?何それ?みたいなことが良くあります。

これは明らかに現実とは異なる認知の歪みがそこに発生しています。

例えば、コップに水が半分入っていたとします。
それを見てある人は、まだ半分も水があると考えます。
ところがある人は、もう半分しかないと考えます。

この例で言うとあがり症の方は、もう半分しかない、あぁ、もうなくなってしまうと考えるわけですが、一方まだ半分もあるという見方もあるということを本人に気付いてもらう、それが7つのコラム(認知再構成法)なのです。

7つのコラム(認知再構成法)をやっていくと例えば、

「あがってしまって失敗もしたが、とにかく何とかやり終えることができた」
「人は私が思うほど、私のことを見てはいないのかもしれない」
「今まで逃げたばかりいたけど、とにもかくにも今回は挑戦することができた」

等々、柔軟な思考ができるようになっていきます。
このような柔軟な新たな考え方ができるようになることが、あがり症の方々の苦しみを緩めていくのです。

7つのコラム(認知再構成法)は認知の歪みがある場合、つまり客観的視点と主観的視点のギャップがある場合に有効です。

あがり症の方においては過剰なまでに自分にスポットライトを当て、虫眼鏡で自分の欠点をあら探しするような所があります。そうして映った自分はそりゃあ客観的なものと異なりますよね。

現実というものはあがり症の方が思うほど単純ではありません。
現実は多面体です。
一面からの視点で凝視すると他の面からの見え方があることに気付かないでいてしまうのです。
7つのコラム(認知再構成法)はそういった多面的なものの見方ができるようにしていくものです。
それにより心の負担を軽減させるのです。

 

違う技法についても説明します。
あがり症の症状が重い時は他の障害を併発していることが良くあります。
多いのはパニック障害でしょうか。うつ状態もそうです。

あがり症の方の状態が悪化していくと負のスパイラルにより自己肯定感を益々低下させていくとともに、活動量も減っていき引きこもりがちになります。
そうして自責の念にかられ自己否定と共に全てが回避的になっていきます。

回避は麻薬と一緒であり、その時はホッとするのですが、リスクを怖れ麻薬に逃げた自分を見て自信を喪失していきます。
およそ壁の高さというものは一旦逃げるとその後は益々高くなるのが実状です。
次にチャレンジするのは前回よりも勇気が必要になります。
もはやこの時においては回避せざるを得なくなります。
そうして回避中毒になっていくのです。

こうして勇気をなくし、自信を喪失したうつ状態のあがり症の方が目の前に来た時、はい7つのコラム(認知再構成法)などと言っても、そうは入りません。
考えること自体が難しくなっている時はちょっと負担になりすぎるのです。

こういった時は認知に働きかけるよりも行動の方へのアプローチが有効です。
そこで活動記録表というものを使います。

これは一週間毎日の時間ごとに何をしてその時の気分はどれぐらい良かったのかを0~100で記録していくものです。
例えば、朝食30%、通勤10%、入浴50%などといったように時間ごとに記入していくのです。

そうして付けた一週間のデータを元に、その人が何をしていた時に気分が良かったのか調べ、良い行動は増やしていきます。
それ以外にも自分の生活の傾向が見えてきます。
何をした時に自分の調子が悪くなるのか、あるいは睡眠との関連性等々、分かっているつもりの自分の生活に新たな気付きが得られるのです。

それ以外にもリラクゼーション、散歩、運動、余暇等々本人にとって有効なものも相談の上で日常に付け加えていきます。
そうして日々の活動量を増やしていくことで気分の向上を図っていくのです。

それによりメンタル的体力が付いてきたら7つのコラム(認知再構成法)などにも取り組んでいくことになります。