「あがり症の悩みをどこに相談すれば良いか知りたい」
「赤面症や手足の震えの相談は医者?カウンセラー?」
「薬や心理療法について知りたい」

今日はそういったことを知りたい、あがり症や赤面症、手足の震え、吃音(どもり)などの方のための相談先をご紹介して、解説していきます。

世には様々なあがり症克服法があります。

ネットを検索すると、それこそ本当にピンからキリまであって、何がなんだか分からないのではないでしょうか。

しかも、○○法が良いと書かれてあっても、人によって腕前は違うわけです。

ましてや、○○さんという人が凄いみたい!ということが事実としてあったとしても、それでもクライエントとの相性やケースによってはうまくいかないこともあります。

私自身、あがり症の方のご相談に乗っているなかで、一度お会いしただけで良くなる方もいればなかなかうまくいかない方もいます。

しかも、良くなるポイントや言葉は人それぞれ違います。

要は、何が良い悪いというのは簡単には言えるものではないということです。

それでも、自分の悩みはどんな所に相談すればいいかが、ある程度分かるだけでもきっと意義あることでしょう。

あがり症の相談先には、大きく分けて医療系とカウンセリング系、そして話し方教室系があります。今日は医療系とカウンセリング系のご紹介です。

まず、医療系には精神科と心療内科があります。

シンプルに言うと、精神科は脳の働きが心に問題を生じていることに対して治療するところですが、心療内科は心の働きが身体に問題を生じていることに対して治療するところと言っていいでしょう。

しかし一方、厳密に区別されているわけでもなく、メンタル的な悩みはどっちに行っても対応してくれます。

あがり症の方は精神科に行っても心療内科に行っても治療の対象となるでしょう。

そして、あがり症の医療での診断名は、社交不安症(社会不安障害、社交不安障害)、SADなどと呼ばれます。

こんなに呼び名があるのは、国際的な診断基準が新しく改訂されるたびに微妙に名前が変わっていくためです。

社会不安障害が一番使われているように思いますが、これは最初の頃使われて一般的に広まっているためであり、今一番新しい言葉としては、社交不安症という言葉になります。

これは、この心の悩みが持つ意味として正しいように思います。「社会が不安な障害」ではなくて「社交することが不安な症状」でしょうと。

そうです。障害だと治らないしレッテルを張られたような印象がありますが、そうではなくてある状況に置かれた時の症状なんだよと。

だから、治療の余地があるんだよという風にも解釈できて、私はこの言葉でいいように思っています。

日本で社交不安症に該当する旧来からの呼び名としては、対人恐怖症、赤面症、吃音などが近いでしょう。

社交不安症と対人恐怖症はなっている部分は多いですが、一部違った部分もあると思いますので、=(イコール)ではなく、≒(だいたいイコール)かなと。

そして、精神科にしても心療内科にしても、あがり症(社交不安症、対人恐怖症)の方に対しては、基本的に服薬中心の治療となるでしょう。薬にもよりますが、比較的即効性があり、それにより症状の軽減を図ります。

そして症状が軽減されている状況で成功体験を積んで自信を付けていくというのが大まかな考え方です。

一方あくまで医療の専門家ですから、心理療法やカウンセリング技法を使える医師はそれほど多くはないでしょう。

悩みを聞いてくれる所と期待していくと、もちろんそういう精神科医も中にはいますが、心の悩みを聞く専門家では決してないので、ガッカリすることもあるかもしれません。

ですから、身体的なことや頭が疲弊してしまっているので楽になりたい方などはいいでしょうが、私の悩みを聞いてカウンセリング的なことをして!といったような状況の方は、それができる医師かどうかきちんと調べてから行った方がいいでしょう。

なにせ3分診療などと言われたりするように、これは実際に多くありますが、精神科や心療内科の診察の構造上そうならざるを得ないところがあるからです。

じっくり話を聞いてほしいという方にはちょっとハードルが高いかもしれませんね。

また、精神科医のメリットは薬を扱えることの専門性ではありますが、一方、薬の副作用や依存性などに悩まれる方もいます。主婦の方の中には、子供を産みたいので薬を辞めたいが辞められずに悩んでいる方がしばしば見られます。

そういった方は、きちんと主治医に相談するといいでしょう。

また、精神科や心療内科は薬をもらうところと割り切って使っている人も多くいます。

その上で、悩みを聞いてもらえるところとして別の相談先に相談されているようです。

それが、心理療法あるいはカウンセリングです。

臨床心理士やカウンセラーが病院、あるいはカウンセリングルームでじっくりとお話を聞いてカウンセリングしていきます。

じっくりと話を聞くことで心の重荷が軽減されたり、また実際に解決に向けての相談に乗ります。

ただ、インターネットで検索すると、あまりにも多くのカウンセラーが溢れており、熟練者からアマチュアまで正直、玉石混合です。

だって、これはビジネス上の話ですが、数日講座を受けたらカウンセラー資格を発行しますよという団体もあるわけで、まぁ、ハッキリ言わせてもらえば、そんなことで聴くスキルが身につくのは不可能に近いと思います。

私が以前通った所は、相当お金を払って一年間学びましたが、ビジネスとしての考え方が強いカウンセラーの先生でしたので、スキルはほとんど身に付きませんでした。

こんな状態の私たちが、○○専門カウンセラーって名乗っていいの?と正直思いました。

ですから、○○カウンセラーと言っても、何が良くて何が悪いかを見極めることは相当に難しことでしょう。

おそらく、現在、一番専門性が高く学んできた方は臨床心理士です。

大学院で論文も書かなければいけないので、結構ハードルが高いです。

ただ、ネックは、国家資格ではないことです。

長年それが課題でしたが、昨年、公認心理士が国家資格となりました。

学びの量や程度は明らかに臨床心理士の方が積んでいると思いますが、なにせ国家資格です。

今後は公認心理士のウェイトが高まっていくのではないかと思われます。

ちなみに、あがり症の悩みに有効な心理療法として主なものに、認知行動療法と森田療法があります。

認知行動療法はエビデンス(実証)があり、今現在、医療サイドではよく勧められています。

ただ、実情ですが、認知行動療法を日本に持ち込んだ大野裕先生が先日講演で仰っていましたが、日本で認知行動療法をきちんとやれる精神科医は10人もいないと。

私は非常に共感しました。

なぜなら、正直言って、認知行動療法がいい、認知行動療法がエビデンスがあると言っても、非常にマニュアル的な使われ方をされているような印象があったからです。

あえて言うなら、聴くスキルを身に着けていない医師が型通りの質問をしたとして、患者との信頼関係はどの程度作れるのでしょうか。心にどの程度響くのでしょうか。

そして、それができない時、どの程度効果が上がるのでしょうか?

私の個人的意見ですが、認知行動療法を使えるようになるより、医者になる際の教育システムとして、「聴く」練習をもっと増やしてほしいということです。

私が患者だったら、なんだかんだ療法より、フンフン思いを聴いてくれる先生に安心感と信頼感が増すと思います。

そして次に森田療法ですが、森田療法は日本発祥の約100年前からある、あがり症の方など向けに実績を積んできた療法です。

森田療法を使っていらっしゃる精神科医の先生の特徴として、なるべく薬を補助的な使い方、あるいは最低限での使い方を考えていらっしゃる先生が多いように思います。ですから、減薬の相談はしやすいと思います。

ただ、いずれにしても森田療法を扱うにしても、提供する側のスキルの違いがあるのは否めないでしょう。

やっぱり大原則として、口コミ情報がある意味、結構信頼性が高いのは否めません。

そして、本からの情報ですが、自分があがり症の本を出しておいて言うのもなんですが、正直危いと思います。

あがり症を専門の一つとすることから相当数読んできましたが、ハッキリ言って、え?という印象です。良い本はもちろんありますが、非常に少ないです。

これで本当にあがり症の方に対応できるの?改善できるの?と思ってしまいます。

いずれにせよ、あがり症の様々な相談先は、なるべくなら、当事者の声をしっかり確認できるのが一番かなと思います。

参考記事
本当のあがり症の話をしよう~あがり症の克服本と克服法あれこれを検証する
社交不安障害やあがり症の緊張は薬で治せるのか?