集団認知行動療法実施

今日は職場で集団認知行動療法をやってきました。
参加者は7人。

まずは、ある方の最近ショックだった出来事を、認知再構成法(7つのコラム)という認知行動療法のメインとなる技法で緩めていきました。

人は、メンタル面がしんどくなると、ものの見方が偏りがちになります。
元々、ものの見方が偏りがちな人もいます。

そういった時はちょっとのミスで自分はダメな人間だと思いこんだり、人の何気ない言動で嫌われたと思いこんだりします。
たとえ事実は違っていたとしても。

そういった時に必要なことは、多様なものの見方ができるようになることです。
同じ出来事でも、こんな見方があるよね、ひょっとしたらこうなのかもしれないよね、けどこんな可能性もあるのでは?などと様々な角度から見ることができるようになると、心の苦痛が和らぐのです。

がんじがらめにされて、まるで鉛を背負っているかのような感覚から解放されるのです。
それを促すツールが認知再構成法(7つのコラム)なのです。

そして集団認知行動療法と言うからには、集団で行うメリットも存在します。
そのメリットを活かす大事なこととして、カウンセラー側の意見ではなく、出席者の意見をいかに拾っていけるかです。
仲間からのコメントは、時にカウンセラーのコメントよりも響くことがあります。

そしたら出るわ出るわ。
皆さんのアドバイスや意見が。

時に笑いもあり、セッションが深まるにつれて、今回ネタを出してくれた方の表情は和らいでいきました。

そうして、いつもながら驚くのは、元の感情の変化です。
最初聞いた時に、この出来事があった時の感情を不愉快120%と表現していたのが、終わる頃に聞くと、なんと20%になったと言うのです。

私自身は少しでも下がればそれで良しと考えているのですが、いつもガクンと下がるんですね。あまりに下がると、ちょっと気持ち悪いぐらいです。

ただ、その方の表情は明らかに変わりましたので、役に立った、効果があったんだと、嬉しく思いました。

認知再構成法(7つのコラム)は、花の水やりに似ているかもしれません。
毎日、水やりする必要はないかもしれません。
ただ、時折り水を与えてあげないと、草花がしおれていくのです。

ちょっと草花が元気ないなぁ、という時に、さっと水やりする。
そうして今を生きる活力が生まれる。

最終的には自分で自分に水やり出来るようになる。
セルフケア。
そこを目指しています。

 

森田療法と服薬と

森田療法の勉強会に行って来ました。
森田療法とは、およそ100年ほど前に精神科医の森田正馬が編み出した精神療法で、対人恐怖症等の神経質症に対して有効性があります。

今日の講師の先生は立松一徳先生。
森田療法関係の著書も複数執筆されている現役バリバリの精神科医です。

ゼミ形式で6人の少数精鋭のもと、今日はパニック障害のケースについての講義でした。

パニック障害と社交不安障害は近接した障害です。
社交不安障害の方の約50%は、パニック障害を抱えているというデータもあります。

今日の話の中で、立松先生から薬についてのお話が何度も出ました。

薬で治ると安易に言われている。
患者の話を聞いて安易に処方するな、と、。
薬は、効果もある一方、弊害や限界があると。

パニック障害を薬で改善させた場合、薬を止めるのが難しくなる。
そのうえ薬を処方してもそれでも症状が残る時もある。
また、表面的には良くなっても、その人の生き方のクセは治っていないので、また違った形で問題が起こる。

実際、立松先生は服薬の処方は相当に慎重に行っているそうです。
そして森田療法で診察に臨み、普通、精神科ではなかなかあり得ないことですが、基本的に20分ぐらいの診察時間で、初診時や勝負の時には60分の診察時間を取るとのことです。
わお!

ほかの参加した精神科医の方々に聞くと、5分ぐらいですという方、長くて10分という方、お恥ずかしながら2、3分ですと言う方もいました。
こっちの方が一般的でしょう。

幸いなことに、精神科医の方々から診察時以外の場面で生のトークを聞くことができて非常に貴重な機会になりまました。

感じたことは、立松先生のように臨床で実績を積んできた方なら、カウンセリングスキルは自然に身につけていらっしゃるのだと思いますが、精神科医だからといってカウンセリングスキルを身につけているわけではないということです。
出席された先生方が、患者との接し方について試行錯誤されている様子を伺って、そうなんだなぁと改めて実感しました。

なんにせよ、今日は私が日ごろ感じている、服薬についての疑念を後押ししてくれる機会となりました。