ブレインストーミング

昨日は認知行動療法の中の行動活性化について語りました。

状態が重いときは認知のほうにアプローチしてもなかなかうまくいきません。
かえって何も考えずとは言いませんが、あれこれ考えるよりも億劫ながらも行動をすることで気分が晴れるということがあるものです。

それはちょっとした散歩なのかもしれないし、運動することかもしれない。音楽を聞くことかもしれない。
答えは本人が知ってます。
心理療法の基本ですが、答えはクライエントの中にあるのです。

あと大切なことですが、自分が調子悪くなった時の程度に応じて何をするか備えておくWRAPという整理ツールもあります。

さて、今日も認知行動療法の続きですが、認知の歪みではなく現実に問題がある場合の話です。

本人の認識と現実の状況にギャップがある場合は、7つのコラム(認知再構成法)が有効となりますが、実際の問題がその通りである場合は歪みを直すわけでもない、行動活性化して元気になるわけでもない、実際の問題解決のアプローチを取っていくことが必要となります。

社交不安障害の方で、例えば職場環境でストレスを感じる上司などがいてよく咎められるような場合、益々症状や不安が増していきます。

そこでカウンセラーは詳しく状況を聞き出した上で、ブレインストーミングの手法で解決案を本人と共に探っていきます。

 

ブレインストーミングとは、アイデアを何でもありで出していくやり方のことを言います。
ブレインストーミングの原則は、1.批判なし、2.自由奔放、3.質より量、4.連想と結合です。

すなわち、下らないと思うようなアイデアであろうが突拍子もないアイデアであろうが、ありとあらゆるアイデアをどんどん挙げていき、場合によってはアイデアを結合したりしていくのです。

時にうまくいくアイデアは突拍子もないアイデアであることがままあります。

そうして、ジャンジャン挙げていったアイデアのそれぞれのメリットデメリットを書き出します。

私は実際にこれをする時、それらの効果や実行可能性などを数値化して入れたりすることもあります。

こうして頭の中になんとなくあったアイデアが、書いて目の前に提示されることで行動することへの判断がしやすくなります。

先ほど例を出した上司がキツいというケースの場合、アイデア案として、例えば辞めてしまうとか、逆ギレするとか、上司を飲みに誘うとか、返事をハキハキするとか、社長に訴えるとか、ちらっと考えただけでも、色々挙がります。

 

私個人としてはこの問題解決技法が結構好きで、クライエントの方と結構盛り上がります。第三者委員会に訴えてしまえ!などと無茶な案言ったりして。

こうして挙がった案は決して強制されることなく、本人が出来そうなことを選んでもらい、実行へと移っていくのです。

また、実行の際は懸念されることへの対処も想定しておいて、いつどこで誰が~というアクションプランを元に行動に移るのです。

この問題解決技法の何が良いと言えば、1人だと想像もつかないような案が出ることや、人と相談することで支えられている感覚を持つことで、行動への勇気づけがなされるところです。

 

アサーション

上記では認知行動療法の中の問題解決技法について語りました。

これは、社会生活上で実際に何らかの問題が生じている時のための技法です。

問題が事実である以上、そこには「白黒思考」とか「べき思考」などといったような認知の歪みはありません。なので認知の歪みをバランスの良いものにする7つのコラム技法がうまくいくとは限りません。

また、仮に行動活性化技法を使ったとして元気になるのは良いのですが、実際の問題は解決しません。

このように同じ認知行動療法といえども、状況に応じて使う技法も異なってくるのです。

それで今日ですが、今日はアサーションについて語ります。

アサーションとは自分も相手も大切にするコミュニケーション法です。およそ人の自己表現には以下の3つのタイプがあります。

ひとつは非主張的自己表現。これは自分の意見や気持ちなどを表現することを抑え気味に、世に順応しようとするタイプです。

つぎに攻撃的自己表現。これは言葉そのものですね。人の非を見て攻撃するタイプです。

そして三番目にアサーティブな自己表現。
これは自分のことも考えるのですが、同時に他者への配慮も示すバランスの良いタイプです。

社交不安障害の方々はおそらくほとんどが非主張的自己表現タイプではないでしょうか。もちろん私もその傾向があります。

人との軋轢を怖れ、自分が我慢すれば良いなどと思って負の感情を溜め込んでませんか?

言いたいこと言えずに自分を取り繕っていませんか?

大体、社交不安障害の方は断るのが苦手なんですよね。相手が気を悪くしないかなどと考えて自分の気持ちのほうを後回しにしちゃうんですね。

例えば、ママ友何人かと話していてお茶しようって誘われた時。そういった場が苦手なのにうまく断ることができない。

何かで並んでいて横入りされた時、ムッとはするものの何も言えず我慢してしまう。

ランチで注文したものと別のものが出てきてがっかりしたが、申し訳なくて言えない。

ちょっとこれはアサーションが必要ですね。

アサーションの基本は、まずは自分の気持ちを確かめること。自分はどうしたいのか、と。

それが明確になったらその方針に従い伝え方を工夫します。一つは事実を伝えること。もう一つは自分の気持ちを伝えること。そして提案すること。

これらを組み合わせて伝えていきます。
例えばママ友の例には「家の用事があるから今日はごめんね。また今度空いてるときに行くから」といった感じ。
これは事実と提案ですね。

横入りの例には「並んでますよ」ですかね。これは事実のみ。

ランチの例には「〇〇定食頼んだので変えてもらえますか?」と事実と提案。
また、もし時間がなかったり、やり取りするのが億劫なら敢えて言わないというのもアサーションです。
主張しないという選択をすることもアサーションなのです。

ただし、納得できず後から腹を立てたりすることはアサーティブな行動ではなかったということになります。

また、アサーティブに気持ちを伝える有効な方法にアイメッセージという伝え方があります。
これはアイ(私は)を主語にした伝え方です。

例えば言葉のキツい旦那には「なんであなたは~」などと反発するよりも「私はそういうこと言われるとドキッとするの」といったように「私は」を主語にして答えると相手は「おっ」となり入りやすいんですね。

自分も相手も大切にするコミュニケーションができるようになると随分生きやすくなるんですよね。
たとえすぐにはできなくても、ほんの小さな出来そうなことから始められるといいですね。