緊張を燃やし尽くせばいつか止む

始まりはふとしたことがきっかけだったのかもしれない。
ほっといたらいつか治るだろうと思ってたのかもしれない。けど、気になると益々気になっていく。
気にすればするほど余計症状を意識する。
意識すればするほど症状はより大きくなる。
症状が不快でなんとかしなきゃとあれやこれやと考えたり行動したり。
するとなぜかは知らぬが益々症状が悪化していく。

あなたは症状という火を消そうとホースで水を注いでいたのかもしれない。
必死になってエネルギーの全てを注いでいたのかもしれない。

しかし、あなたは知らなかったのです。

症状に注いでいたのは水ではなく油だったことに。
あなたは火に油を注いでいたのです。

だからあれだけ緊張したのです。

故に、あがり症の克服は火に油を注ぐことを止める所から始まります。
症状は燃えるに任せておけばいつか燃え尽きて止むのです。

緊張をなくそう、緊張を軽減しようという意識こそが火に油の始まりです。
緊張するのはするに任せておくしかないのです。

しっかり緊張しきって燃やし尽くすんです。

 

「Yes、But~」から「Yes、And~」へ

「はい・・・でも~」
「そうですよね・・・でも~」
「おっしゃることは分かりました、ただ~」

私は基本的にカウンセリングの際は、あまり自分の考え方を押しつけるようなことはしません。
しかし、あがり症の方のカウンセリングをしている時やセミナーの時などにおいてはそうでない時があります。

それは、あがり症の仕組みを話す時です。
これは、私の中では譲れません。

歴史の浅い心理学の分野において100年近くに渡って歴史の審判に勝ち残ってきた森田療法という心理療法を学び続け、かつ私自身の体験と考察に裏打ちされたあがり症の仕組みを語る時、これは推測でも思い込みでもない私にとっての真実です。

それを伝えると時に始まるわけです。

「なるほど分かりました、けど~」つまり「Yes、But~」が。

はっきり言います。

この論法が出てきた時、答えは決まっています。
それは、「私はやりません」と暗に言っているだけなのです。

だから私は、「Yes、But~」が2、3出てきたら押すのを止めます。

全てはあなたが決めることなんですと。
ことに、「Yes、But~」理論を頻繁に使う人に多いんですね。

「私はやりません。けど治すのはあなた」が。

これは自分で自分の人生を生きていません。
他者に自分の人生を決めてもらおうとしてるのです。

自分が責任を取るリスクを引き受けず、うまくいかなければ他者に責任を帰すことができます。

虎穴に入らずんば虎児を得ずと言います。
宝を得るためにはリスクを引き受ける覚悟が必要なのです。

「Yes、But~」をよく使う人は次のように変えていくと良いでしょう。

それは「Yes、And~」です。

「わかりました、じゃあ~」
「はい、では~」
「なるほど、そして~」

この中の「~」は、やらない理由探しの言葉ではなく、やるためのアイデアや行動の言葉になることでしょう。

 

あがり症を受け入れた時あがり症は改善していく

あがり症は否定の病です。
あがっていることが受け入れられず、断固として拒絶します。するとどうなるか。
身体を例に取ると分かりやすいでしょう。
身体に異物が入ったとき、抗体反応を示します。
熱が出たり、じんましんが出たり、呼吸困難に陥ったり。

あがり症も同様です。
異物(あがり症の症状)を拒絶しようとすると、そこにエネルギーが注ぎ込まれます。

ドキドキします。
カーッとします。
胸が苦しくなります。

否定し拒絶しようとする限り、これは必ず起こります。
あなたの症状は当然の帰結なのです。

ではどうすれば良いか?

繰り返します。
あがり症は否定の病です。ならば、逆にあがっていることを受け入れ、コントロールを諦め、他者にあがっていることを表現すること。
それがイコールあがることの受容なのです。

あがることを当然のこととして自分の一部に取り込んだ時、抗体反応は消えるのです。

あなたが症状を拒絶している限りあがり症は改善しませんが、あがり症を受け入れた時、逆説的にあがり症は改善していくことでしょう。