あがり症克服を誰に頼むのか

心理療法のことを書きました。

じゃあ次は?

う~ん、これが難しい質問になります。
じゃあ、誰に頼めばいいのか?ということになるのです。

これは最も知りたい問いでしょう。

このブログのテーマがあがり症な訳ですから、シンプルに言うとあがり症を治してくれるのは誰か?ということです。

う~ん、何だか苦しくなってきた。
大丈夫か、俺?

ていうことで、今日は自分を棚に上げた話をします(これをご都合主義と言います)。

 

それで、まずは精神科医と心療内科医。
これはすいません、正に自分を棚に上げての大変失礼な言い方になりますがいろんな方がいます。

つまり、え~、と思うような方も実際いるのです。
誤解を恐れず言えばピンキリです。(私はキリ?)

昨日のブログでもちらっと書きましたが、精神科医などの全てが心理療法を学んでいる訳ではありません。

医師になる過程で、それを学ぶ機会がないのです。
医師になって自分は外科とか内科とか、あるいは精神科とか、どれを標榜するかは自由に選択できるのです。

つまり、精神科医等が心理療法を学ぶのは、必要性を感じての自学自習なのだろうと思います。

ですので薬物療法一本でやられている医師もいます。

あがり症は薬で治ると仰られる医師もいます。
その中には実績のある高名な方もいます。

結果を出してるのでしょうから反論しづらいですが、しかし、う~ん、かつて当事者だった私にとって、それでいいのか?とか、それホント?という思いは強くあります。

一つには薬を飲み続けなければならないということ。
そこには副作用等デメリットがあります。

その辺は問題なく調整できるという方もいるでしょう。
特に先程結果を出していると言った高名な精神科医の方の処方の仕方を読むと説得力があります。

しかし、そういった匠の技の薬物療法を行える先生がどれだけいるのか?

私は、精神疾患を抱える方に多量多剤の薬物療法を漫然と続けている医師や、安易な処方による悪影響を与えているのでは?という医師を数多く見聞きしてきました。
大丈夫と言われてもそのままの言葉ではとても呑めません。

また、薬物療法を止めた場合、あがり症の再発率が高いという問題もあります。

ですので薬物療法一本の精神科医の方だと、基本的にあがり症は手に負えないだろう(軽い限局性の社交不安障害を除く)というのが私の考えです。

ただ、何も心理療法が必ず良いと言っている訳ではありません。

それこそ、精神分析を学んだ精神科医が、あがり症の方に有効な心理療法を行うことは正直難しいのではないかと思います。

また、認知行動療法を学んでいるとしても、これは結構取っつきやすい心理療法ですので、サラッと覚えた表層的な知識でやったとしてもあがり症にどこまで有効な診療を行えるかは疑問です。

また、心理療法とは言うものの精神科医には制約があります。
3分診療などと言われるほど数をこなさなければならないような状況にある方もいます。

お昼食べてないのでは?みたいな方もいるでしょう。

そういった方に果たして心理療法などやる暇があるのか?
そういった事情もあります。

私がお薦めするとしたら、まず大前提として服薬に極力頼らないようにしている医師です。

仮に薬を出すにしても、一時凌ぎの頓服として出したり、いずれはやめることを最初から考えて処方する医師です。

こういった大前提があった上で一つには認知行動療法を専門的に学ばれている医師。
これは認知行動療法はエビデンス(科学的根拠)があるからです。
結果が出ているからです。

あとは森田療法の知見を持った医師。
森田療法には、時に一言で患者に深い影響を及ぼすことがあるからです。

じゃあ、そういった精神科医がどこにいるのか?という話になるでしょう。

認知行動療法を専門的に学ばれていてこの先生ならという方は、正直私の狭い世界では一人二人しか知りません。

逆に森田療法を学ばれている医師なら情報はあります。

なので、私の拙い技術ではあがり症治療が仮にうまくいかなかった場合、私が精神科医をお薦めするとしたら森田療法を学ばれている医師になるかと思います。

ただ、これはあくまで医師でも何でもない、1カウンセラーに過ぎない私の意見であることをご承知おき下さい。

 

そして、臨床心理士。
心理系の中では一番の専門資格と言っていいでしょう。

大学院でがっつり勉強することが受験資格となり論文もありますので結構大変です。

精神科病院、児童相談所、学校関係等が主な就職先で、一般的なカウンセラー資格とは全く重みが違います。
一定程度の知識やスキルは持っていると言っていいでしょう。

ただ、これにしてもあがり症を治せるかどうかは全く別物です。

あがり症の専門的療法と言える森田療法の知識はあくまで表面的なものでしょうし、学ぶ分野が俗に言う「心理学」だと、臨床スキルとは別物です。

臨床心理士にしても、資格を取ってから研鑽しないことには、あがり症治療は困難と思われます。

 

そして次に話し方教室。

これのメリットは場数を踏めること。
実践に近い形で練習していくことができます。

一方デメリットはテクニックに走る嫌いがあること。
発声練習、呼吸法、姿勢、等々いろいろあるでしょう。

これにより得られることももちろんあるでしょうが、テクニック論は緊張そのものを注目させることにより、かえって症状を重くさせる恐れがあります。

おそらく軽いあがり症の方や動機付けが強い方には有効かもしれませんが、本質的な部分への治療ではないと思います。

私はむしろ、ここに集まる仲間との交友が克服への勇気付けになるような気がしています。

 

あとは、自助グループ。
セルフヘルプグループとも言います。
要は同じ悩みを持つ仲間が、互いの体験を語ったりする場です。

代表的なものとして生活の発見会というものがあります。
これはもう50年ぐらいでしょうか、ずっと継続している団体で日本各地にあります。
信頼性は相当高いです。
森田療法学会の精神科医と連携している団体です。

これらの自助グループについては私は基本的に大賛成です。
なぜなら同じ悩みを持つ方々と話をすることは、時に支援する側よりも刺さる言葉を言ってくれるからです。
説得力が違うんですね。

 

次は、ネットで検索すると溢れかえってくる克服講座やDVD等々。
はっきし言ってよく分かりません。

YouTubeで少し見ましたが、テクニック論や表面的な対処法が多いなぁというのが実感です。
失礼を承知で言えばほとんどが怪しいのではないかと思います。

ただ、私もよく分かっていない心理療法があるのも事実です。
ひょっとしたら効くものもあるかもしれませんし、私の認識が間違っている部分もあるかもしれません。
私の言うことを100%鵜呑みにしないことをお勧めします。

以上から結論。

<佐藤の見解>
・薬物療法のみの医師はあがり症治療は疑問。
・認知行動療法できれば森田療法を使う医師(臨床心理士等)がいるクリニック。
・生活の発見会等の自助グループは有効。
・話し方教室は場数と他者との関わりという点で有効。テクニック論に偏ると微妙。
・カウンセラーと呼ばれる人々こそが最もピンキリ。
・未来志向・解決思考のスキルを使うカウンセラー(臨床心理士)は有効。
・全てに共通することとして表面的なテクニック論には反対。