去年の夏はひときわ暑かったですが、冬はそんなに寒くないような気がします。
あくまで、東京の話ですが。
さて
夏は暑いものです。
冬は寒いものです。
風は時に涼しく、時に冷たく。
自然はありのままです。
古今東西いかなる時も、自然それ自体がありのままにあります。
それ以上でもそれ以下でもありません。
生き物に目を転じてみましょう。
お腹がすくと食べ物を探します。
敵の気配を感じると警戒心でキョロキョロします。
敵わない外敵に対峙すると恐怖に襲われます。逃げ惑います。
それもまたありのままの姿です。
等身大の姿です。
転じてあがり症(社交不安障害、対人恐怖症)の方はどうでしょう。
恐怖場面を想起しただけで不安スイッチが瞬間的に入ります。
彼ら彼女らは、ありのままに振る舞うのでしょうか?
決してそんなことはないでしょう。
感情を抑え込みます。
コントロールしようとします。
冷静なフリ。
怖くないフリ。
緊張してないフリ。
そこにありのままの姿はありません。
夏は暑く冬は寒いものです。あがり症の方は、夏を涼しく、冬は全然寒くないよと平気な顔をしているかのようです。
あまりにもいびつです。
あまりにも不自然です。
人間誰しもが不安になり緊張するものです。
あがり症の方と、そうでない方の違いは、不安を感じたり緊張する所までは同じようなものですが、それをどう捉え、どう対峙するかが180度異なる所にあります。
どうすればいいのでしょうか?
不安や緊張をそのままに感じること。
余計なことは考える必要はありません。
不安になり、緊張すればいいのです。
不安と緊張をそのまま感じることができれば、やがて不安や緊張は流れていくのです。
加工して味を変えようとするから毒に変わってしまうのです。
あがり症に悩む全ての方に言います。
あがっていいんです。
緊張していいんです。
ありのままに体験してください。
もっとあがってもっと緊張していいのです。
時に恥をかくかもしれません。
時に何も変わってないと思うかもしれません。
けれど、あがることを許した時、あがる自分を許せた時、きっとあなたに何かが起こるに違いありません。
あがっていいと言われてもそんなこと思えない。
緊張していいと言われてもやっぱり緊張はイヤだ。
会社で立場ある役職に付いているのでどうしても失敗は許されないんだ。
そんな方もいるでしょう。ごもっともです。
そんな方のために、もう一つプラスアルファでお話ししましょう。
あがり症の方は頭でっかちの人が多いです。
あれこれ頭の中で考えすぎるのです。
やれ、これはあってはならない。
やれ、こう思われたのではないか。
やれ、あぁなったらどうしよう。
とにかく、先のことを良からぬ方に頭の中でシミュレーションし、人の考えや気持ちを悪い方向に深読みする。
その結果、行動が二次反応的になりがちです。
普通、人が自然体で行動するときは思考と行動が一致しています。
ゴミが落ちてたら拾わなきゃという思いと同時にかがんでいる。
危ないと思うと同時によけている。
ビックリすると同時に「えっ!」と声を出す。
ところがあがり症の方はゴミが落ちていると気付いた時、拾わなきゃという思いと同時に人の視線を気にしてしまう。なので、他者の目を意識したぎこちない動作で拾う。
人と話す時も話す内容よりも人の目に意識が行き、話すという行動にあたかも不純物が入ったかのようになってしまいます。
思考と行動が一致しているのではなく、思考が行動に対して作為的になりどうしても不自然になってしまうのです。
そうして考えれば考えるほど、行動を意識すれば意識するほど、益々不自然になってしまいます。
だいたい、あがり症の人は考えれば考えるほどロクな事にはなりません。
思考と行動が不一致すればするほどうまくいきません。
なので極論すれば、あがり症の人には考える時間を与えるな、ということになります。
考える暇もなくスーッと目の前のことをしてみる。
余計なことを考える間もないほどあれやこれやと動いていく。
動物の本能に任せるかのように感じたことを評価せずにやってみる。
直感に従い体を反応させる。
体の感覚に身を任せる。
あがることを一切評価せずにあるがままに体感し、その上で、頭でっかちな思考の支配から、感覚の欲するところに身を任せていくのです。
野生に還れ。
「べき思考」、「深読み思考」、「先読み思考」といった認知の偏りを持つあがり症の人は、思考の支配から、感じるがままに動く体感覚の支配にシフトしていく必要があります。
野生に還るのです。
もし、あなたが思考を減らし、思考に猶予を与えず、感覚にそのままに従って行動できた時、あなたは気付くでしょう。
これまでとは違う自分に。
何か立ち込めていた暗雲が流れていくようなその瞬間に。
今日は、あがっていい、緊張していいということと、あがり症の方はあれこれ考えず、その瞬間に感じたことをパッとやってみることについてお話しました。
頭の中で、ホントかな?とか考えている限り何ら変わりません。
是非、現実生活の中でやってみることをお勧めします。