先週末、「60日で人生をガラリと変える『あがり症克服』日めくりカレンダー」の出版を記念してセミナーを開催しました。

今回のセミナーでは初めての試みでしたが、これまで私が関わってきたあがり症の方で改善した3名の方をお招きしてスピーチとインタビューを行いました。

セミナー前半はこれまで私が関わって改善した7人の方の事例と改善のポイントを解説し、後半にお招きした3人の方のスピーチとインタビューを行いました。

これまで100回以上にわたり、あがり症のセミナーを開催してきましたが、もしかしたら今回のセミナーは3本指に入るぐらいの内容だったように思います。

なぜなら、普段あがり症のセミナーに来られる方は、実際に良くなったケースというものを話では聞いても実際にそういった人がいるのかどうか見たことがなく半信半疑だからです。

今回の参加者の方々は、あがり症でもいろいろありますが、人前で緊張して声が震える方、人前で字を書く時に手が震える方、赤面症の方、吃音(どもり)の方、対人恐怖症など、状態も程度も様々な方々が集まりました。

今回の方々はどうかは分かりませんが、こういった方の中には、あがり症はもう治らないというふうに思い込んでいる人もいます。絶望的な状況やあり方の方もしばしばいます。

それが、実際に今目の前でよどみなくまるで講師のように話されている方々が、それぞれがあがり症で悩んでいた時にどういった状態だったのか、そして克服の過程でどういった変化を辿ったのかお話しいただくことで、今悩んでいる参加者の方々に希望が生まれたような、そんな印象を受けました。

参加者の方から様々な質問が出ました。
あがり症の方は質問することも緊張する人が多いのですが、出るわ出るわ。
そりゃそうかもしれません。

みんな、リアル憧れ?じゃないですが、目の前に将来になりたい自分がいるのですから。

インタビューを希望された方には私からも改善のポイントを根掘り葉掘り聞かせて頂きました。

いくつか私にとっても学びになる大きなことがありました。

ある方の一言が印象的でした。

人前で字を書くとき手が震える悩みを、これは書痙というのですが、もうそのままで仕方がないかなっていう一言が実際に同じ悩みを持っている方に何かしら響いてるように見えました。

またある方は、あがり症に伴う緊張と不安などを生理現象と言い切りました。

生理現象という以上、それは人間の意志ではコントロールできないものであるというニュアンスを含みます。

つまり、あがり症の方は生理現象に対して、不毛な戦いを挑み続けているんですね。

不毛だと知らずして、なんとかなるのではないかと必死に乞い願いながら。

またある方は言いました。

なぜ改善したか、とにかく何十人の前で話した時に、話す内容に集中する、伝えたいことを伝えることにだけ集中するようになったと言っていました。

またある方言いました。
手段を捨てる勇気と。

あがり症の方は、あがらないための手段を様々に持ちます。

人前でスピーチする時にあがらないために一言一句原稿を用意するのは結構な割合でありますし、深呼吸・腹式呼吸も多いでしょう。

あるいはマスクをして顔を覆ったり、あるいはネットでググってあがらないツボを押してみたり、あるいは薬を飲んでみたり、あるいは話す直前に階段ダッシュして一回脈拍を上げることで納まる効果を得ようとしたり、やり方は人それぞれ様々にあります。

それだけ何とかして、あがりたくないんですね。

あがらないための手段を一つだけじゃ足りない、二つ、三つと持ちたがるわけです。

そして表面的にはあがってないように見える、見せかけの成功を手に入れることで、その見せかけの成功のための手段に必死にしがみつきます。

効いているようで効いていないような、意味があるようで意味がないような、かえって苦しんでるようでこれしかないとそれにすがる。

その姿は、溺れる人が藁をも掴むかのようにも見受けられます。
そこまで必死の思いなのでしょう。

しかし、それを捨てる勇気と克服者の方は言い切りました。
響きました。

みんな、その勇気は持てないんですね。

じゃあその方はどんな取り組みをしていったかと言うと、感謝探しがうまくいったということでした。

私が講座の中で話した、感謝探しというツールを聞いた時、これだと思ってその日から毎日感謝日記というものを付け始めたらしいです。

その日の中で寝る前に感謝できることを日記に書く。
それを始めて一週間でいきなり変化が見られたようです。

こういったケースは非常にレアなのですが、そして1年後私のもとに会いに来てあがり症が良くなりましたと言いました。

そして今回、800日以上日記を継続されているということでした。

あがり症の克服には実は魔法の薬はありません。

どうすれば治るんですか?とよく聞かれるのですが、鉄板の法則はありません。

ある人に効いたやり方が、ある人には効きません。
ある人に効かなかったやり方がある人に効きます。

誰もそれを予想できません。
ただ一点、断言したいことは、あがらないための手段や方法に答えはないということです。

あがらないための方法でアプローチしている限りは、あがり症の方はあがり続けます。

あがり症には逆説の考え方が必要なのです。

あがらないようにと思ってあがり続けるあがり症の方には、逆にあがりきることで逆説的にあがりが軽減していきます。

発想も克服法も、これまでと全く正反対のやり方を考えていく、あるいは正反対でもない全く関係のない意味あることをやっていく。

感謝探しをして治った方は、どうして治ったのかうまく説明つかないようでした。

けれどそれでいいのです。

あがり症の症状に直接アプローチしているのでなくて、何らかのよき方向へ、他者への感謝へ、自分のやりたいことへ、他者との関わりへといったような、あがり症とは関係ないことをしていくほど改善していきます。

そして思考の世界であぁじゃないかこうじゃないかと生きるのではなく、現実行動を変えていくことで改善していくのです。

そして今回、終了後にランチ会に10人弱の方が参加されました。
とても盛り上がりました。

克服者3人を囲んで、それはもう希望に満ちた楽しい会でした。

人は変われる、私たちは良くなれる、きっとあがり症は改善できる、そんな空気感がそこ満ちていました。

私は、私が関わった方々がその場にいて明るく話しているのを見て非常に嬉しかったです。

とても満足できる一日でした。
これこそ対人援助のやりがいのような気がしました。

私はこれをもう1度やってみたいと思いました。

改善した人と、今悩んでる人との交流する機会が希望と勇気を生む。

もう一度。

佐藤たけはる 本当のあがり症克服教室<開催日程>