あきらめないで

対人恐怖症だった以前の自分と比べてみると、本当に雲泥の違いがあります。
以前の私だったら、逃げたくなるような場面を毎日やっているのです。

濃いケースや家族面談もやります。
我ながら結構うまい具合に場を回すことも多々あります。

ただ、だからと言って完全に対人恐怖症の傾向が治ったわけではありません。

時折、その感覚が襲ってきます。
私の場合は2パターンあります。

一つは、鼻が詰まっている時。
私は、鼻づまりの持病があり、最近は漢方薬でマシになりましたが、それでも詰まっているときがあります。

なんかやたらと面談時に緊張して、例の対人恐怖の症状が出ることがあるのですが、面談後に振り返ってみると鼻が詰まっていたということがしばしばあります。

これは、自分の体調がもろに対人恐怖の症状に影響を与えているとしか思えません。
実際、ある方は生理かどうかであがり症の症状は全然違うとも言っていました。
体調というものも観察してみる必要があるかもしれません。

そして対人恐怖の症状が襲ってくる時のもう一つは、権威ある人と話すとき。
これは、あがり症の方にはよくあるのですが、私にもその傾向があります。

もちろんないときもありますが、他の人よりは、より緊張するような気がします。
権威ある人など、自分の苦手とするようなタイプの人と電話などで話すときは、「も、も、も、もしもし・・・あ、あの、あの・・」

・・・ちょっと盛ってしまいましたが
ゴニョゴニョしちゃうときは今でもあります。

しかし、私が以前と違うのは、それをほとんど引きずらないことです。

私が以前と変わったのは失敗へのあり方です。
はっきり言って、「まいっか」なんですね。

失敗して恥ずかしいのは当然です。
情けなくもなるでしょう。

ただ、そこからどうするか、どうあるかは自分で決めることができるのです。

沸き上がる感情は意志の自由になりませんが、考え方や行動は意志の自由になるのです。
全く同じ出来事でも受け止め方で事実は変わってしまうのです。

私のあがり症の克服は、失敗の引きずり方を是正したことが一つの要素だったのかもしれません。

渦中にある方には、あまりに遠い、想像もつかない世界かもしれません。
私もそうでした。

しかし、未来は自分が作ることができるのです。
行動なくして結果なしです。

未来への不安と過去の後悔に覆われた人生を送ることはあまりにつらいことです。

ほんの些細なことでいい、今自分でできる何かをやること、そして少しでも症状が軽くなることをあきらめないこと。

たとえ、先が真っ暗に思えても、それでもあきらめないで下さい。
あきらめた時、望む未来は遠のいていきます。

人はいかなる状況にあっても、自分のあり方は自分で決められるのです。
未来は今の自分の行動が決めるのです。

 

うつ病患者が増えた理由

今日は精神障害者の方の長期入院についてのセミナーを受講してきました。

その中で気分障害(うつ病等)の患者数の推移についての言及がありました。
平成11年の気分障害の患者数が約44万人だったのが、今や100万人を超えているとのことです。

この要因には多面的な理由があると思われますが、一つには操作的診断基準(DSM-Ⅳ、ICD-10)の普及があります。

これは何であるかというと、あらかじめ決められた項目、例えば「興味の減退」とか「集中力の低下」、「睡眠の異常」といったものに何個該当すれば、うつ病ですよと診断されるものです。

これにより世界共通で診断されるようになった一方、これまでグレーゾーンだった方々にも、該当したら「はい、うつ病」といったように簡便に診断されるようにもなりました。

また同時に国の施策として、早期発見早期治療といった方針もあり、これまたグレーゾーンの人が拾われるようになったこと。

さらにはSSRIと呼ばれる薬価の高い新薬の販売に伴い、製薬会社が積極的な営業活動をしたため急激にうつ病患者が増えたという話は非常に有名です。

こんなこと書いていいのか分かりませんが、以前、アルコール学会のセミナーに参加したとき製薬会社が密接に関わっていました。

かなり大規模の学会で1000人以上は参加してたと思います。
その分科会のとあるセミナーに参加したのですが、名前は忘れましたが、ある新薬の効果について精神科医が発表していました。

そしてその薬についての説明や効果等の詳細が、随分立派な冊子で資料として渡されました。
要は、売り込みと私は捉えました。
精神科医が多数参加しているので、うちのこの薬を患者に処方してくれというアピールです。

ちなみに全参加者に資料と一緒にボールペンも無償で付いており、そのボールペンにはエビリファイという有名な薬の名前が書かれていました。

製薬会社は営利企業なのだから当然と言えば当然の営業活動でしょう。

そして、うちの薬を処方した方が良いと宣伝するわけです。
なぜならば、うつ病で苦しんでいる方々に、これだけの効果があるからと。

そうして、うつ病未満の方々に、うつ病とは何か、新型うつとは何か、等々、積極的にメディアを使って情報提供し、患者の掘り起こしをするわけです。

これも、営利企業として当然の行為でしょう。

しかし・・・

それが果たして意義あることなのでしょうか?

薬にはメリットだけでなくデメリットもあります。
精神科医による安易な処方と思われるケース、薬漬けのケース、医原病という処方ミスにより患者を作り出してしまったケース。

そういったものを私は見聞きしてきました。

第三者的な立場、むしろ患者側に近い私のような立場の場合、複雑な思いを抱いてしまうのです。