向精神薬への考え方

先日、私が支援している人の精神科通院に同行しました。

そこの待ち合いスペースにあがり症の克服体験記と標して、あがり症のメカニズムや症状等の概容と、何人かの克服体験の手記のようなものが記載された小冊子が置かれていました。

精神科で克服ねぇ、ふ~んと思いながらその小冊子の発行元を見ると〇〇製薬と書かれてあります。

なるほど、克服体験記には服薬の記載がさりげなく書かれてあります。

そしてもちろん、服薬の効果がグラフでしっかりと明記されています。

間違ってはいません。
そう、間違ってはいません。

けど、私はいささか疑念を感じました。

確かに、間違いなく向精神薬の効果はあがり症の症状に効きます。
向精神薬によって、一体どれぐらいの人が救われているか、量り知れません。

けど、その小冊子には再発の可能性が記載されていないのです。

ある調査によれば、心理療法による治癒や向精神薬による治癒、あるいは心理療法+向精神薬による治癒の中で、再発の可能性が最も高いのが抗精神病薬のみでの治癒である、というものがあります。

つまり、向精神薬による回復は本質的回復にはつながらないんですね。
対症療法的回復になりやすいのです。

あがり症(対人恐怖症、社交不安障害)の治療の中で、向精神薬の役割は間違いなくあるでしょう。
しかし、回復していく中で、その人の予後を見据え、長期的・根本的回復を視野に入れた場合、それだけでは足りないのではないかと思うのです。

この辺のことは、まさに継続して服薬されている方が一番ご存知でしょう。

あがり症の方が根本的回復を目指していくためには、その人の生き方のクセや考え方のクセ、そして自分自身のあり方にまでアプローチしていく必要があるのです。

 

マネジメントカウンセリング体験

今日は、アドラー心理学に基づくカウンセリングや研修を行っているヒューマンギルドに行ってきました。
そして、そこで代表の岩井俊憲先生からカウンセリングを受けました。

ただ、普通のカウンセリングとはちょっと違います。
一つは、カウンセリング演習の受講者20人ばかりいる前での公開カウンセリングであることと、もう一つは、マネジメントカウンセリングであること。

マネジメントカウンセリングとは経営のカウンセリング、今回の私の相談で言うなら起業相談です。
個別の相談を依頼したのですが、今日のカウンセラー演習の講座でやりませんか?と岩井先生からお話しを受け、ほえ?とは思いながらも承諾して参加しました。

私は2年前にふと思い、起業を決意しました。
そうして準備していく中で、少しずつ創業セミナーや経営に関するセミナーを受けてきました。

その中で、わかったことはカウンセリング一本ではまず厳しいこと。
一言で言うなら食っていけない。
なので、カウンセリングよりももっと分野を相当絞りなければならないとも言われました。
絞って絞っていかなければ顧客は来ない、と。

そこで、じゃあどうすればということで自分の強みとして考え付いたのがあがり症だったこと。
あがり症の当事者、克服者、援助者の3拍子の経験を持っていることから、この事業を軸にやっていけばいいのではないかと思い、それを今回のカウンセリングで話しました。

私は、それはいいアイデアですねぇなどと返事してくれることを妄想していましたが、本当に妄想にすぎませんでした。
予想に反して、時に厳しい質問が来ます。
どれだけニーズがあるんでしょうか?絞り込みすぎでは?などとの返答を受講者からも含めて頂きました。
あれれれれ?

そうして自分の強みを10個挙げてくださいと言われ、挙げていきました。
途中で出なくなりましたが、岩井先生や皆さんの質問により引き出されました。

そうして挙がった主なものが以下になります。

・あがり症だった
・障害者就労支援に関するノウハウ
・高齢者夜間電話相談員の経験と人脈
・森田療法関連の人脈
・相談できるプロがいること
・カウンセリングスキル
・カウンセラー仲間の人脈
・ELM勇気づけトレーナー
・あがり症のブログ
・集団認知行動療法のワークショップ
・社会福祉士
・引きこもり支援相談士
・精神保健福祉士
・自殺危機初期介入リーダ―
・ディグニティセラピー

こういったものを元に皆さんから次のような意見をいただきました。

あがり症だけを対象とするのはどうなのか?
個を対象にするより集団を対象にした方が良いのでは?
専門学校や産業医等とつながるのも良いのでは?
引きこもりの就労や勇気づけにも関われるのでは?
行政や福祉にも絡めるのでは?
トータルでいろいろなことをやって、あがり症はその中の一分野にしてはどうか?
今の職場でも出来ることあるのでは?
・・・等々

そうして結論として挙がったのが、今まではインプットが多かったけどこれからはアウトプットしていった方が良いということが一つ。
つまり勉強はもう十分積んできている。これからは発信していきなさい、と。

そして、佐藤さんはあがり症の人に何かというより、分野を問わず色々な人に勇気づけしたいんですよねということで総合力で色々なことをやっていくこと。

う~ん、想定外の展開でした。
皆さん、説得力があって納得してしまいました。
しかもヒューマンギルドの講座では基本的に勇気づけられます。
そうか、よし、それで行こう!と思いました。

そこで、ふと思ったのがこのブログ。
これまではあがり症の方向けに絞っていたけど、もう少し対象を広げて、題名を変えた方がいいのだろうか?と。

これまた悩ましい。
どうなんでしょうかねぇ?
ちょっと検討です。

いずれにせよ20人ぐらいから勇気づけカウンセリングを受けているようで、貴重かつありがたい機会を頂きました。

感謝。