カクテルパーティー効果

カクテルパーティー効果という心理学用語があります。

これは、例えばカクテルパーティーのようなザワザワしたうるさい場所でも、自分が関心のある人の声や関心のある内容の言葉は、なぜか聞こえてしまうというものです。

人間はうまくできたもので、単なる聴力だけではなく、こういった特性も兼ね備えているのです。

しかし、一方でそれが苦手な方もいます。
特にアスペルガー障害などの発達障害者の方に多いのですが、逆に全ての音を拾ってしまって弁別できないんですね。

これは、結構な苦痛となります。例えば電話受けてて周りの声が聞こえるような時、混乱します。全ての音が同時に同じレベルで聞こえてくるのですから。

発達障害者には感覚過敏のかたが多く、こういった方はきっと聴覚が過敏なんだろうと思います。

では、あがり症の方はどうか?

彼らもまた感覚過敏です。
というよりもむしろ自分のマイナスの感覚過敏といった所でしょうか。

自分の欠点やミスをまるでサーチライトで探しすかのように見つけて、その傷口を広げていくのです。

自分の鼓動や呼吸に意識を向けて、些細な変化に怯える。

声が震えたのではないかと、自分の緊張や不安による振る舞いを過敏に捉える。

相手の顔色を見て、硬い表情に過剰に萎縮する。

本当はできているところは無数にあるのにそれに気付かない、あるいは気づいても否定するんですね。

いやー、ほんと厄介な生き物ですねぇ、人間というものは。

自分にとってはとるに足らない、あるいは当たり前すぎて気付かない、実はそんな所にその人のお宝が眠っているということが多いです。

そんな自分の長所、強みをカクテルパーティー効果で探し出してみませんか?

いやほんと、ちょっとやってみて下さい。
耳をすましてね。

 

信頼関係の崩壊

私は現在は障害者就労支援の仕事がメインの仕事で、カウンセリングや電話相談等はサブの仕事としてやっています。

障害者就労支援の仕事のほうは、うまくいくケースや良かったと思うこともありますが、一方、トラブル対応など頭を悩ませることも多いです。

今日は凹んだお話。
個人情報のこともあるので大まかな話で書いていきます。

何日か前にAさんからTELが来ました。

Aさんはうつ病の方で、症状の方はまだ完全には回復していないのですが、切迫した家計状況から精神的に追い詰められていて、なんとか早く就労せねばならない状況にあります。

私との関係は信頼関係ができている状況と言えると思います。

Aさんの電話内容は就職に向けての手続きの話です。Aさんは、とある会社の一次面接を通り二次面接の話が来ましたが、
諸々の状況や今現在チャレンジしてる別の会社のほうを優先して、その話を断りました。

 

ところが、私との電話のやり取りのなかでもう一つのほうの会社の話を進めていくにあたって、私の説明不足もあってAさんが想定していたよりも手続き上、時間がかかるということが分かりました。

Aさんは言います。
「なんで言ってくれなかったんですか?それを知っていればもう一つの会社の方、受けていました」

「どういうつもりだったんですか?」
・・・等々。

私は答えます。
「完全に抜けていました」
「そこまで認識していませんでした」
などと返答して謝罪しました。

 

Aさんの危機状況に私なりに相談に乗り、これまで積み上げてきた信頼関係が少し崩れるのを感じました。

そして今日Aさんと面談がありました。私は今回の件をお詫びし、今後についての話をしていきました。

そこで、はたと気付きました。
今後の手続きでもう一つ説明が抜け落ちていたことに。
そのため、Aさんが想定していたよりも更に時間がかかります。

Aさんは文字通り頭を抱えました。あきれたような表情でこちらを見ます。矢継ぎ早に詳細の説明を求められます。私は必死に持ちこたえながら知っている事実を答えていきます。

Aさんは言いました。
「これだから役所は・・・」

グサッと刺さります。
私は役所の人間ではないのですが、そんなことどうでもいいです。私が最も苦痛とする言葉の一つです。

 

今後の方向性について確認し、Aさんはやがて「分かりました」と答えました。

私は今後の支援について確認します。
担当変えを要望されても不思議ではない状況です。

Aさんは言います。
引き続きお願いします、と。

Aさんは、メンタル面の相談とサポートが必要な方です。そういったことから私の支援を引き続き望んだのだと思われます。

カウンセリング等を含め対人援助では信頼関係なくしては、どれだけの能力があっても相当困難となります。

Aさんは、おそらく揺らいでいます。
これまでのメンタル面を含めたサポートに対する信頼と、今回の出来事による不信に。

私も揺れています。
想定外のショックと、こういった出来事があったうえでメンタル面を含めたサポートをしていくことに。

私の危機的状況での方針は決まっています。
言い訳しない。ズルしない。

傷心ですがこれでやっていくほかないです。