以前にあがり症講座を受けられた方から、先日、ご報告のメールをいただきました。

講師冥利に尽きる内容でした。以下。

「今日メールしたのは、2回目の講義を受けて感想をメールで送りますと言って送れていなかった点と講義を受けて不思議なことにほとんどあがらなくなったのでそのご報告をと思いメールしました。

先月は1年で仕事で1番大変な行事があり、非常に忙しい月でした。飲み会の幹事も5日連続やり、社長を含め役員勢揃い前で発表もあったのですが、全てそつなくこなすことができました。全く上がらなかったといえば嘘ですが、今までにないくらい落ち着いて発表したり司会をすることができました。

不思議なくらい無難にこなせたのですが、先生が授業の中でおっしゃっていた何気ない一言による影響だと思います。

それは、あがっていても「とにかく行動するしかないですよね」、という一言です。

それがなぜか印象に残っており、その後「行動すること」を意識するようになって不思議なくらい思うように人前で伝えたいことを伝えられています。

おそらく今までうまく伝えたい、よく見せたいというところに意識が言っていたのが伝える、発表するという「行動」そのものに意識がいくようになったからかなと考えています。 なんとなくそんな気がしますどう思いますか?

いずれにしろ、行動を起こすことに意識を集中させることで結果が全く違うということを実感している次第です。

また何か困ることがあれば相談、セミナー参加させて頂きますが、ひとまず感謝の気持ちと経過報告をさせて頂きました。」

 

とても嬉しいコメントです。
こういった感想などを頂けることがこの仕事ならではの冥利に尽きるかと思います。

私は、あがり症の講座に参加される方やカウンセリングに来られた方に、あがり症が治った方はどんな感じで治ったのですか?とよく聞かれます。

皆さん、やっぱりそりゃ知りたいですよね。もしかしたら一番の興味津々のポイントかもしれません。

そこで私は意を決して答えます。

「実は・・・・・・正直、何がきっかけであがり症が良くなるかは私も分からないんですよね」と。

え?
皆さん、若干絶句というか固まります。
軽くがっかりした様子が伺えます。

すかさず私は次の言葉を継ぎます。

「けれど…」
皆さん、お!?と微かに反応します。

私は続けます。
「ただ、治る方の特徴として言えることは、必ずある言葉が出てきます」

「それは・・・一言で言えば『ゆるし』です。」

え?

「皆さん共通して言う言葉、それは例えば、まぁいっかと思いましたとか、仕方ないんですねとか、しょうがないのかなと思いましたとか、許しであり緩みの言葉が必ず出てくるんですよね」

「それは、あがることはあってはならないと生きてきた自分への許しかもしれないし、あるいはどうしてもあがりはあがらざるを得ないんだという症状へのあきらめなのか、必死に歯を食いしばってきた口元が緩むというか、そんな印象なんですよね」

・・・

「私は、そういった『ゆるし』の言葉が出てきたときに、あぁ、この人はあがり症が改善してきている、あともう少しと判断します。

あがり症は囚われの病です。あがり症をあってはならない、あがってはならない、人にバレてはならないと生きてきたあがり症の方は、そこを何とかしようとしている限りはあがり症であり続けます。

ところが、あがりをもう仕方がないんだ、あがらざるを得ないんだと思えた時、そこからの囚われが解放していき、これまで目がいかなかったことに目が行くようになります。

それは、これまであがり症の症状というものに対して負の注目をし続けていたものが、健全なやりたいこと、自分の心が喜ぶこと、今必要なことに注目が行くようになる。いわば正の注目。

すると、例えばこれまで100あるうちの99をあがり症の症状に向けていたとすれば、それが80になり70になる。すると下がれば下がるほど症状の燃焼が弱まっていき、健全な欲望の方の数字が高まれば高まるほど勝手に元気になっていく。いわば注目の病なんです。」と。

皆さん、考え込むかのように深く聞き入ります。

そうなんですね。

あがり症とは、自分の思考の中で作り出した幻影です。
それは真実としてそこにはないんだけど、あぁなるんじゃないかこうなるんじゃないかと考えれば考えるほど、それが現実化していく。

そして、まるで映画に入り込んだかのように、本人には真実として存在している。

だから、あがり症が治った時は、治るというよりも、あがり症のことを忘れていることが多いんですね。

あがる時は、ふつうにあがって、あぁ、緊張する、いやだなぁと。
ドキドキ緊張して、時に声も震えちゃったり。

けれど、終わったらそれっきり。
はい、以上。

それ以下でもそれ以上でもない。
そこに余計なものが一切紛れ込まない。
ただ、それだけ。

暑いを暑い、かゆいをかゆい、痛いを痛い。
それと一緒。

あがりはあがり。

あがりをダメだのなんだの、価値付けするからハマるんです。
人としてあがるのは当たり前です。

だから、あがりはあがり。
ただそれだけ。
以上。

その時、あなたの「あがり症」は、「あがり」へと変わっているに違いありません。それが本当のあがり症の克服です。