特例子会社訪問の一日
今日は午前中に埼玉県にある、西友サービスという会社を訪問しました。
この会社は特例子会社と呼ばれる障害者雇用に特化した会社で、障害者の従業員数は70人ぐらいでかなりの規模の会社でした。
大手の企業は、企業規模が大きいだけに義務として障害者をたくさん雇用しなければならないのですが、関連会社などで個々に数人ぐらいの雇用をしていてももとても足りません。
そこで特例子会社というグループ会社、例えばみずほ銀行ならみずほ銀行の特例子会社、東京電力なら東京電力の特例子会社を立ち上げて、そこで障害者の方を何十人と雇って、グループとして障害者の雇用率を上げるというのが、この制度の大まかな趣旨です。
それで、今日訪問した西友サービスですが、私は色々な特例子会社を見てきましたが、見た感想を一言。
この会社はとりわけ素晴らしい。
特例子会社の中では古株ですが、バリアフリーの先駆者としてのしっかりとした設備、従業員の教育とスキルアップを含めた雇用管理、モチベーションを上げるシステム作り、等々どれをとってもピカイチでした。
特に驚いたのが、手先の器用さのある知的障害者の方が、店舗でなんと、魚をさばいたり、刺身を切ったりしているのです。
わお!あり得ない!
これまでの障害者雇用は、障害者でもできる仕事をといった視点で、単純作業や肉体系の仕事、雑務等の仕事が多かったのですが、ここではなんと手に職をという視点でやっているのです。
万が一、この会社を辞めることになってもここでの実績があれば、それこそ一般就労で魚を取り扱う会社に就職できるかもしれません。
ただ、従業員のほとんどが知的障害者と身体障害者でしたので、今後は精神障害者をどのように雇用していくかが課題でしょう。
なんせ、平成30年から精神障害者の雇用義務化が法的に決まっていますので、今後は精神障害者の方々が障害者雇用の主役となっていくのですから。
そして午後もまた、別の都心にある外資系企業の特例子会社にを訪問しました。私の担当の方が2次面接を通って、就職直前の職場実習の初日だったのです。
そして会社の場所ですが驚きでした。国会議事堂駅を降りて、国会やら内閣府やらある辺りに出て、なんと総理官邸の脇を通ります。
警備の警官が一定の距離で配置されていました。
私は基本的に田舎者ですので、その脇を通り過ぎながら安部総理がいるんじゃないかとキョロキョロ怪しげに官邸の中を覗き込もうとします。
たまたま門が空いたのでここぞとばかりに中を見ようとして益々挙動不審だったにちがいありません。職務質問を受けなくて良かったです。
そして、総理官邸の道路を挟んで向かいのビルに着きました。
そしてこの特例子会社もまたちょっと驚き。
外資系ということもあってか、働き方が柔軟。
フレックス制で、13~15時のコアタイムと呼ばれる時間さえきっちり出てもらえば、極端な話大丈夫とのこと。
今回実習を受けている私の担当の方が精神障害者ということもあってか、とにかく会社側としては無理しないでほしいとの再三のお話。
勤務時間や出勤日は体調に合わせてやってもらえればとのことで、負担に対する配慮がかなりある。
ある意味、精神障害者にとっては非常に働きやすい会社だなぁと思いました。
その後、事務所に戻り、二人の方と面談。
そして連絡調整や雑務を行って一日の仕事を終えました。
うつに対する考え方
私は最近、うつの方の支援のケースが非常に増えています。
その中で障害がうつ単独の方もいますが、どうもそれだけでなく重複障害をお持ちの方も非常に多いなぁと感じます。
その障害も多様です。
もちろん社会不安障害の方もいれば、発達障害、パニック障害、統合失調症、ADHD、境界性人格障害、摂食障害、依存症、等です。
どうもこれらの方々を見ていると、今の状態がうつが目立っているとしても、うつは2次障害のように思えてならないのです。
つまり、1次障害としての例えば、発達障害や摂食障害等から来る生きにくさやつらさからうつを発症したのではないかと。
まぁ、よくよく考えてみれば当たり前なのかもしれないですけど。
アスペルガーなどの発達障害の方が、学生時代までは個性的な人として普通に生きてきたのに、社会人になって会社での対人関係で行き詰まる。
社会不安障害で挫折経験を繰り返せば、自信をなくし気持ちが落ち込み、社会生活を送ることがつらくなって引きこもりがちな生活となり、やがてうつ気味になっていく。
アルコール依存症なんて、アルコールによる脳へのダメージは、うつ病によるものと同様の部位にダメージを与えます。
アルコールは飲めば飲むほどうつへの近道なのです。
こうして見ると、もともとのメンタルヘルスに何らかのハンディキャップを持っていれば、二次的にうつになっていくのも不思議ではありません。
それで、そのうつの症状なのですが、ちびまるこちゃんの漫画で顔がサ―ッと暗くなるように、気持ちが落ち込んで元気がなくなるような印象があるかもしれませんが、実は最初は身体の症状から忍び寄ってきます。
どうも頭痛がする、最近眠れない、食欲が湧かない、体のあちこちが痛い・・・
じゃあ、どうするかというと、まずは内科に行く。
異常ないですねと言われ不安になり、頭が痛いからと脳神経科へ、体が痛いからと整形外科へ、視界が歪んだり見えづらいからと眼科に行く。
しかしどこも異常ないと言われる。
おかしい。
やがて身体症状の次に精神症状がやってきます。
どうも集中力が出ない。
なんか気力が湧かずに好きなことがつまらなくなってきた。
風呂に入るのが億劫になってきた。
やたらとイライラする。
悲しくもないのに、涙が出てくる。
この辺になってくると明らかに様子が違ってきますので、やがて精神科を紹介され、うつと診断される。
このような遠回りを経て、うつになった場合、回復にもそれ相応の時間がかかります。
治療にかかる時間は、発症からの時間に比例すると言われています。
つまり早期発見・早期対応が大事となります。
また、もともとうつ以外の1次障害がある場合は、その大元に対処しなければうつの状態が良くなっても再発の恐れがあるでしょう。
ですから、今日言いたいのは以下3つです。
・1次障害への取り組みが大事
・内科に行っても異常なしは要注意(うつは身体症状からやってくる)
・うつは早期発見・早期対応が大事