(近日予定講座!)
「あがり症克服日めくりカレンダー」出版記念セミナー【新宿7/15】
以前、私のあがり症克服セミナーに来られた方が言いました。
「薬が効かないんです」
私が薬の説明をして薬は効きますと言った直後でした。
詳しく聞くと、インデラルという最も即効性のある薬を使用してもダメだったとのことでした。
精神科であがり症(吃音、どもり、赤面症、書痙、等)の方に処方される薬は分類的にはおよそ三種類あります。
医師ではないので、専門的立場でないコメントということで言わせて頂けると、次のようなものです。
一つは坑不安薬と呼ばれるもの。
まぁ、即効性があり使い勝手のいい精神安定剤といったところでしょうか。
そしてSSRIと呼ばれるもの。
じっくりと長期的に服薬して気持ちを和らげていくもの。
そして三つ目がβブロッカーと呼ばれる高血圧の薬にも処方されるもの。
身体症状を抑えると言われているものです。
私見では、βブロッカーが、とにもかくにも最も即効的に効いてくれるものと捉えています。
そして、その方が飲んで効かなかった薬が、このβブロッカーの中でインデラルと呼ばれる薬です。
私は効かないと言われて正直驚きました。
大概、薬についてのコメントで聞くのは、効いた、ちょっと楽になった、あまり効かなかった、効いてるのか効いてないのか分からない、副作用があった、といったようなもの。
特に、インデラルが効かないとサラリと仰ったのはその方が初めてでした。
ここには2つの捉え方があるように思えます。
そもそも効いたか効かなかったかは主観的なものであり、ある程度は効いてはいたもののその方の効いた基準には届いていなかった可能性。
そして、もう一つは本当に全く効かなかった可能性。
果たしてこういった場合に精神科に行く意味はあるのか?
その方はお守りとして薬を持っているということでしたが、私の考えとしてはいらないのではないかと思います。
敢えて言わせて頂ければ、これは医療の世界ではなく心理の世界の話です。
更に言うならこの世界へのあり方の話です。
この現実世界をどう見ているのか、他者をどう見ているのか、自分自身をどう見ているのか。
その根本の信念にアプローチしない限りは、この方にはいかなる医療も役には立たないでしょう。
なぜならば、あらゆることに対して、自分の生き辛き信念の確認をしているからです。
「この世界は危険だ」
「他者は私を責める」
「私は弱みを見せてはならない」
本人が望むと望まないとに関係なく、この信念の確認をして更に生き辛き信念を強めているのです。本人も知らずして。
あがり症は、決して脳の病でもなく、身体の病でもなく、生き方~この世界へのあり方の病なのです。
つまり、生き方~この世界へあり方が変われば、あがり症を治さずしてあがり症の囚われから解放されていくのです。
では、生き方、この世界へのあり方を変えていくにはどうしたら良いのでしょうか?
アドラー心理学でライフスタイルと呼ばれるものがあります。
ライフスタイルとは性格と似たようなものですが、もう少し柔らかめな感じの意味で、その人の行動パターン、人生の設計図、あるいは人生の背後に流れるメロディのようなものです。
誰しもにその人特有のライフスタイルがあり、しかし誰しもがそれを知らずして生きています。
ところが、ある状況ある環境に置かれると、なぜかは知らぬがざわざわした気持ちが上がってきたり、ワクワクしてみたり。あるいは怖がったり、不安になったり。
そうしてその気持ちに応じた行動を取ってしまう。
特に困難に置かれると人はそのライフスタイルが明確に現れます。
まるで、あらかじめプログラミングされていたかのように、ある人は立ち向かってみたり、またある人は逃げたり、ある人は立ちすくんだり、ある人は他者に救いを求める。
人それぞれ同じシチュエーションでも行動は全く異なるのです。
あがり症の人はどうか?
核心を言うならば、あがり症の人は自分の価値が試される状況を最も恐れます。世界最大の危機です。
そしてその時、まるであたかも敵国にいるのかのように振る舞うのです。
自分を誰が責めようとしているのか、自分の隙を誰が狙っているのか。
徹底的にします。
敵探しを。
そうして敵である証拠を探し出し、慄然とします。
「あぁ、あそこに敵がいた・・・」
「挙動不審に思われたに違いない」
「自分の弱みが見つかってしまった・・・」
こうして自分のいびつなライフスタイルを強化・確認します。
「私はダメな人間だ」、「他者は私を責める」、「この世界は弱肉強食の世界だ」と。
もっと本質的なあがり克服をしたい方にとって必要なことは、あがり症を薬で治すのでもなく、呼吸法で治すのでもなく、生き方の改善~ライフタイルの変更をしていく以外にはないのではないかと私は思うのです。
結局、薬や話し方のテクニックでは生き方は変えられないのです。
もっと人間本質に迫る克服法が必要に違いない、私はそう確信しています。
(参考記事)
声や手足が震える・・・全てはあなたが何を見ているか
(参考動画)