希望を、勇気を、そして生きる力を

あがり症の方は一見メンタル的に弱い方のように思えるかもしれません。
確かに、内向的だったり、対人関係での過敏さ、心配性といったような要素を持っている方は多いでしょう。

しかし、それだけじゃないんですね。
私がこれまで会ったあがり症(社交不安障害、対人恐怖症)の方で、それだけしかなかった方はほとんどいません。

ほとんどの方が、弱さの裏に全く性質の異なるものを持っていました。
それは、より良くありたい、向上したい、完璧でありたい、人に良く思われたい、かくありたい、といったもの。

それは、強い思いです。
時に強烈なまでの強い思いを持つ方がいます。

だからこそのあがり症なのです。
その強い思い故に、あがることはあってはならないこととして、あがり症を形成する悪循環にエネルギーの全てが向いてしまっているのです。

つまり、あがり症は性格ではありません。
悪循環の結果なのです。

性格と言われれば生まれつきの気質のものとして治らないでしょう。
しかし、繰り返します。
あがり症は悪循環の結果なのです。

つまり、悪循環が改善されれば、あがり症の症状も改善されていきます。

どうか、治らない、自分には無理だ、とは思わないでほしいのです。
言葉の力はとてつもなく恐ろしいものです。

治らないという言葉は思えば思うほど、言えば言うほど実現します。
言葉は実現させる力を持っているのです。

たとえ絶望することがあっても、たとえ不可能に思えたとしても、そこに可能性があることだけは忘れないでほしいのです。

可能性は希望です。

希望は生きる力です。
希望は勇気を与えます。

あがり症者が克服への道に進んだ時、より良く生きたいという強い思いは好循環へと向かいます。
あがり症の回復者で気楽に怠惰に生きている人を私は知りません。

あがり症の克服者は、より良くありたいという思いのままに自己実現をしていくこととなるのです。

 

問題を長所と捉え直す

リフレーミングという言葉があります。
リフレーミングとは、ものの捉え方を別の見方で捉えることを言います。

良く言われるのが、コップの水に半分入っている時にどう捉えるかというもの。

もう半分しかない、いや、まだ半分もある。

事実は何一つ変わっていないのに、ものの見方が変わるだけで自分にとっての事実が変わる。

他にも例を挙げていきましょう。

・頑固→意志が強い
・怒りっぽい→情熱的
・うるさい→元気
・暗い→内省的
・引っ込み思案→慎重

これらは単語のリフレーミングです。
状況のリフレーミングもすることができます。
他えば以下のようなもの。

・なかなか学校にも行けず、友達や家族も含めて人との接触を避けている
→自分の身を守っている。

・仕事仕事で土日も会社に行き、子供とも関わらず家族を旅行に連れて行ったことがない父親
→家族を守るために身を粉に働いている父親。

・つらくて苦しくて先行きが見えないような状況
→今はジャンプするためにかがんでいる時

・朝も起きられず、仕事にも行けず、稼ぐこともできず、何のために自分がいるか分からないぐらいの状況。
→電池が切れるぐらい頑張ったのだから今は充電期間。

カウンセリングでは、まさにこのリフレーミングをやることが多いです。
というよりもクライエントノ方がリフレーミングでものを捉える事が出来た時、状況が変わります。

リフレーミングとはそれだけ大きなことなのです。

あなたが悩んでいること、自分の欠点だと捉えていること、それらを書き出してリフレーミングしてみてはいかがでしょうか?
リフレーミングできないものはほとんどありません。
リフレーミングの達人はいかなること、いかなる状況にもリフレーミングをします。

日本の精神科医であまりにも有名な方で神田橋條冶先生という方がいます。
神田橋先生は言いました。

「~という問題」を「~という長所」で捉え直す。

これができたらいろいろな気付きがあるかもしれませんね。