多量多剤処方について
今日は薬について。
たまたま、今日複数の方から薬についての質問や不安等を語られることが多かったので書きます。
私が福祉の業界に入った時、私のファンになってくれた利用者がいました。
麻雀の好きな人で、私がマージャン店で働いていたということを知って、あなたのような人を待っていたと言われました。(単に麻雀の頭数?)
統合失調症の50歳ぐらいの方で、症状の状態はかなり安定していました。
いずれにせよ、私のことを好いてくれて一番仲良くなりました。
そして、この方ですが、知り合って半年後、亡くなりました。
心疾患でした。
同じ施設にいた私と同い年の人がいました。
私とは、やはり生きていた時代が同じなので、共通の話題も多かったです。
その方は、私がこれまで見た中で最も多い服薬量の方でした。
薬局で会ったことがありましたが、その処方量の多さに目が点になりました。
瞬間、人間の飲む量ではないと思った記憶があります。
施設の主治医が言うには、通所してくるだけでも奇跡だと言っていました。
処方薬の多さを量る指標にクロルプロマジン換算というものがあります。
1,000超えだと多量服薬で良くないと言われています。
ちなみにこの方は、10,000を優に超えていたようです。
さらにちなみに、この方はクロルプロマジン換算で対象外の薬も多く飲んでいました。
つまり、飲んでいる薬全部を対象にするともっと、とんでもない量になるということです。
普段の様子は、普通に立っているだけでヨロヨロ、歩くにも酔っ払いと一緒。
身だしなみも当然ひどいです。
口元にはよく白い粉薬が付いていました。
作業も滅茶苦茶で、やらせる仕事がないと職員が嘆いていました。
今年亡くなりました。
40代前半の突然死。
司法解剖に付されたとのことでその後どうなったかは聞いていません。
が、おそらく、心疾患だったのだろうと私は思っています。
日本は、諸外国に比べ、多剤多量服薬の程度が相当に高いです。
近年、その弊害が警鐘され、昨年から一定基準を超える多量多剤処方に対して、診療報酬上の減額対象となりました。
医原病と呼ばれ、薬が病気を作ったという人も一定程度いるはずです。
誤診により薬が処方され、薬の副作用による陰性症状を疾病の症状と見間違え、薬が更に処方される。
そしてさらに陰性症状が増し、悪い意味で安定していく。
そうして本来精神疾患を持っていなかったかもしれない人も精神病患者になってしまった。
薬が精神科医療に果たした役割は極めて大きいでしょう。
精神科医療においては不可欠です。
相当数の人が薬により救われています。
しかし、薬は文字通り、薬にも毒にもなりうる。
そのことを医療従事者だけでなく、当事者本人も認識しておく必要があるでしょう。
リカバリーとは
今日は私の好きな言葉「リカバリー」について考察していきます。
リカバリーとは症状をなくすことではありません。
リカバリーとは
・単に疾病からの回復ではなく、人生の回復を考えるもの
→精神疾患やメンタルヘルスに困難をきたした時、人はその症状から逃れようともがき、苦しみます。
しかし、単に症状さえ取れればいいのなら、疾病さえ治ればいいのなら薬でも一定程度は治るでしょう。
しかし、果たしてそれでいいのでしょうか?
生き方やあり方に改善のない回復は再発しやすいです。
生き方やあり方を改善する、すなわち人生の回復を通して人は根本的な回復をしうるのです。
それが病を和らげるのです。
たとえ疾病が完全には治らなくても人生を回復することで人はより良く生きられるのです。
・「病気や健康状態の如何にかかわらず、希望を抱き、自分の能力を発揮して自ら選択ができる」という主観的な構えや指向性。
・「リカバリー」は、精神障害を持つ方々がそれぞれの自己実現やその求める生き方を主体的に追求するプロセスのこと。
・障害があったとしても、自分らしい生き方を追求し、自分のことは自分で選択して、自分の人生に責任を持つあり方を目指す。
→人は病の渦中にある時、自信を失い、人生を諦めかけ、時に絶望します。
そうして受け身の人生になっていきます。
自分が何かしても何も変わらないと。
私は治らない。
私には無理だと。
しかし、たとえ障害があっても、自分がどう生きるか、どうありたいかは自分で選択できるのです。
たとえ、障害があっても、困難があっても自分の望む生き方、自分の望む人生を選択し、その結果が良くても悪くても自分で責任を取ることができるのです。
人は人生の主体者です。
病気に怯え、変化を怖れ、チャレンジしない居心地の良さを取り、自分の人生を諦めることもできます。
一方、障害があっても、不安と恐怖があっても、敢えて挑むこともできます。
あなたの希望は何でしょう?
あなたらしい生き方とは何でしょう?
あなたにとっての自己実現とは?
あなたは何を大切にし、何に向かって生きているのですか?