これがあがり症克服の核心です
あがり症(対人恐怖症、社交不安障害)の方は、あがってはならないと考えます。
あがらないようにと振る舞います。
彼ら彼女らの願いは叶うのでしょうか?
その結果はおして知るべしです。
悲しいかな、彼ら彼女らの願いが叶わないからこそ、実際問題あがり症の方々が多くいるのです。
そこには、あがってはならないと考え、あがらないようにと振る舞うこと自体があがり症を悪化させるという皮肉な構図があるのです。
逆説なのです。
あがり症の悪循環は逆説の仕組みなのです。
ならばあがり症の克服法とはいかなるものか?
世にはあがり症の克服法、治療法、改善法、様々なものが溢れかえっています。
怪しげなものから医療の分野にまで様々なものがあります。
私はあがり症の当事者でした。
そして克服者でもあり、そして今は治療者でもあります。
様々なことを実際に試み、体験し、様々な克服パターンを見てきました。
そうして私は思うのです。
あがり症の仕組みも逆説だが、克服も逆説にあると。
あがらないようにと考え続け行動し続けて、逆に悪化させてきたあがり症者に必要なことは、あがるように、あがりきるように、もっともっとあがるようにと振る舞うことです。
???
あがり足りないのです。
あがりを抑えちゃだめです。
もっとあがらないと。
もっともっと自分をあがらせないと。
そして失敗してもいいのです。
あがってもいいのです。
あがろうがあがるまいがあなたの価値は一切変わらない。
あなたはあなたなのです。
他者の視線が、他者の思惑があなたを決めるのでは断じてない。
あなたがあなたを決めるのです。
繰り返します。
失敗してもいい!
あがってもいい!
中途半端にあがっちゃだめです。
あがりきるのです。
もっともっとあがりなさい。
そうして人前で話す場面というのなら、ただただ伝えることだけに集中してみてごらんなさい。
自分をあがりきらせて、あがりきらせたらあとはほっといて、ただただ伝えることに集中する。
これらをこの字句通りにやってみることができた時、あがり症の克服法を一言で言い表す「あるがままに」という言葉の本質をあなたは体験することでしょう。
逆説療法
私は非常に寝つきがいい方です。
大体布団に入ればすぐに寝入ります。
電車の中でもしょっちゅう寝て隣の人に寄り掛かったり、体が斜めになったり、よだれがタラリンとするタイプです。
ただ、こんな私でも、たまに寝つけない時があります。中途半端に昼寝や夜寝?をしてしまった時や風呂に入ってすぐに布団に入った時など。
ふとすると気づきます。
あれ?寝られないなぁって。
段々体の向きを変えたりしてもぞもぞ布団の中で動きます。
うとうとしたかと思ったら寝ていない自分にハッと気づきがっかりする。
やがて焦り出します。
睡眠時間を計算したりする。
起床時間まであと何時間だからこれしか寝られない。
やばい。
しかし寝ようと意識すればするほど余計に焦り、益々寝られなくなる。
なるほどこの感覚が不眠症の方の感覚なのかもしれないと思いました。
寝なきゃ寝なきゃと思えば思うほど寝られなくなる。
私はそこである日、寝つきが悪かった時、考え方を変えました。
いーや、もう、寝られようが寝られまいが焦るのは止めてなるようになれと。
感覚的には荒波にのまれ溺れてしまった時にじたばたするのではなく、体を波に任せるような感覚。
そういう風に思えた時、そういった感覚に純粋になれた時、まず気持ちが楽になりました。
焦燥感が減ったんですね。
そうして次に、却って寝られるようになりました。
いつの間にかスーッと寝入っていた。
これ、心理療法のやり方を取り入れています。
森田療法という心理療法があるのですが、その創始者森田正馬は不眠症を切々と訴える患者に、今日帰ってから布団に入った際に、一番眠りにくい姿勢のままずっといなさいと指示しました。
患者は???です。
しかし、信じられないぐらいですが、その不眠症の患者は指示に従った所、その日は寝られたと言うのです。
これを逆説療法と言います。
先ほど述べた、寝ようと思えば思うほど却って寝られなくなるという悪循環の仕組みは、あがり症の仕組みはと全く一緒です。
つまり、あがらないようにと思えば思うほどあがってしまうのです。
じゃあ?
そうです。
あがり症には逆説療法が効くのです。
信じがたいかもしれません。
あとは、やるかやらないか、それはあなた自身が決めることです。