深淵の前に永遠に立ち尽くす

リンダ・グラットンという人が書いた「LIFE SIIFT 100年時代の人生戦略」という本があります。


2017年にベストセラーになりました。

この本では、今盛んに言われている人生100年時代に、どのように私たちは対処していけば良いのかを問うています。

そこではもちろん金銭的な面でも備えておく必要があるものの、金銭以外の価値の方がもっと大事だと言っています。

それは、学びであったり、人間関係であったり、趣味だったり、健康等も。

それを要約して、自分が何者で、どう生きていけば良いのかと述べています。

私はそれにとても共感します。

あがり症の方とカウンセリングや講座を通して関わっていく中で、何回かお話ししていくと、だいたいの人があがり症の仕組みを理解するところまでいきます。

そして、自分が良かれと思ってやってきたことは、ある意味全てあがり症になるためにやってきたようなものだったんだと、驚きます。

そこで良くなる人もいます。
そういうことだったのか!と。

けれど、そうはならない人の方が多くいます。

そして思います。
じゃあどうすれば?

そこで私がこれこれこうと話します。
そして、なるほどという人もいれば、ここで固まる人もいます。

この時見せる態度、それは「ためらい」。

アドラー心理学の祖、アルフレッド・アドラーは、彼らはあたかも深淵の前に立っているようだと言いました。

そう、一歩進めばもしかしたら奈落の底。

だから進まない決断をし、まだましなあがり症の生き辛さの丘の上にいる決断をします。

そして、深淵の前に永遠に立ち尽くすのです。

無理からぬことかもしれません。
あがり症の方が恐怖場面に突入するためには相当なエネルギーが必要となります。

勇気が必要なのです。
その時、勇気を高めてくれるのものが自分の価値観なり、自分の生きる意味なんですね。

自分が人生に何を望むのか、どうありたいかという価値観が勇気を支えるのです。

これらがいかなる人をも危機に立ち向かわせる源となるのです。

絶望=苦悩―意味

アドラーの弟子で心理学者にヴィクトール・フランクルという人がいます。

フランクルは20世期の10大名著とも言われている「夜と霧」という本の著者でもあります。

死亡率9割以上とも言われるアウシュビッツ収容所からの生き残りであり、他の収容所で最愛の若妻を殺されたフランクルは余生を全うし、ロゴセラピーという心理学を創りました。

フランクルは言います。

「人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである」(『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル、霜山徳爾訳、みすず書房)

人生が何を私に期待しているのか?

何を?

私に?

フランクルは自身の経験からか、絶望を次のように定義しました。

「絶望=苦悩-意味」

自身が絶望のどん底を体験したフランクルは、

「絶望=苦悩」

とは捉えなかったのです。
そこに意味という変数を見い出したのです。
意味とは、価値とも言い換える事ができるでしょう。

意味が苦悩と同じ時、絶望は消失します。
意味が小さければ小さいほど、絶望は増します。

では、意味が苦悩より大きいときは?

私が思うに、その時、絶望は、誇り、愛、勇気、希望といったものに変わるのではないでしょうか。

人間の罪を一身に背負ったイエス・キリスト。
子供を奪い去られた拉致被害者のご家族。
一日世にあれば必ず成すことがあると言った吉田松陰。

意味ある時、絶望は絶望であり続けないのです。

これらほど崇高なことでなくても、我々庶民が苦悩の中にあっても意味を見い出すことはできます。

貧困、失職、失恋、病気、リストラ、等々、様々な苦悩があります。

この時、それが絶望になるかどうかは、まさに意味次第なのです。

人は、それぞれの生きる意味を持ちます。
そして、人はいかなる状況にあっても、どう意味付け、どうあるかは自分自身で決めることができるのです。

あなたが人生にどうありたいか、そして人生はあなたに何を望んでいるのか。

あなたの価値観とはなんでしょう?

あなたはあがり症が治ったら何をするのでしょう?

そして、本当はどうなりたいのでしょう?

人生はあなたに何を望んでいるのでしょう?

あがり症に悩むあなたにお伝えしたいのです。

絶望=あがり症―意味

あなたにとって生きる意味がない時、あがり症はそのままに絶望になるでしょう。

けれど、あなたがあなたの生きる意味を見出した時、それが大きければ大きいほど、たとえあがってもそこまでは問題にはならないでしょう。

私たちは自分の生きる意味をこそ、問いかける必要があるのではないでしょうか?

この意味の重みこそが、苦悩を絶望に変えるかどうかを左右する大きな要素ではないでしょうか。

あなたは何のために生きますか?

 

(参考ブログ記事)
アドラー心理学ライフスタイル診断=人生を彩るメロディ