心理的に非常に不安定な時、問題はその人自身にピッタリ貼りついて、問題=その人になってしまいます。

 

例えば、私はうつだ、うつな私、といったように。

 

そもそも生まれた時からうつな人はいないわけで、人生の途中にまるで風邪のようにかかってしまうのがうつという病なのです。

それがあたかもその人=うつ

になってしまうのです。

また、本来は健全な思考の人でもうつにかかればマイナス思考になります。

そして自分(あいつ)はマイナス思考の人間だ、と自他共に認識するようになります。

つまり、その人の性格そのものがマイナス思考なのだと認識されるようになってしまうのです。

ちょっと何を言いたいのか分かりづらいと思います。

もう少し分かりやすい例を出します。

不登校の子がいたとします。

不登校の原因というのはいろいろあるでしょう。

ところが周りや不登校の子自身が考えるのは、やれ性格が弱いであるとか、何を怠けてとか、その子自身が悪いとされることが多いのです。

これが大変都合が悪い。

悪者探し、犯人探しは何の益にもならずむしろ本人や周りの誰かを傷つけることが多いからです。

そこで一つ挙げられる技法としてナラティブセラピーにおける、問題の外在化の技法があります。

その中でも問題にニックネームを付ける技法を今回は挙げてみましょう。

先ほどの例だと、うつという問題に対し、例えば「じめ夫」とか「どんよりん」が取り憑いたなどとします。

不登校の例だと「怠け虫」のウィルスにかかったなどとします。

その上でカウンセラーと共に、

「じめ夫(怠け虫)」はどんな時やってくるのか?

「じめ夫(怠け虫)」の好物は?

「じめ夫(怠け虫)」が嫌いなものは?

「じめ夫(怠け虫)」が恐れていることは?

などと生態調査をしていきます。

生態調査の後は作戦会議です。

「じめ夫(怠け虫)」をどうやって弱らせるか、退治するのか、対応策を共同で探っていきます。

この生態調査と作戦会議の過程が非常に大事になります。

なぜなら、問題にニックネームを付けて外在化することにより、本人が悪いのではなく、「じめ夫」や「怠け虫が」悪いとすることで本人の気持ちの負担が軽減されます。

そして、それこそ本来空気が重くなるような話題にニックネームを付けてあれやこれやと生態調査をして、さらにはどうやっつけるかと作戦会議をしていく中で、なんだか楽しい雰囲気になり空気が軽くなっていくのです。

なんせ本人=問題の時では遠慮していたものが、本人≠問題となることで遠慮なく問題のせいにして様々な話ができるんですね。

そうして本人とカウンセラーが共有した対応策を、あとは実行に移していくことになります。

さて、では、あがり症だとどうなるかですが、ニックネームを付けるのなら、まぁ「あがりん」とか「ドキンちゃん」といったところでしょうか。

では、「あがりん」は、どんな時やってくるんですか?

どんな風にあなたにささやきかけるのですか?

どんなふうにあなたを困らせるのですか?

どんな時「あがりん」は喜ぶんですか?

「あがりん」が苦手なものは何ですか?

「あがりん」が来ない時はどんな時ですか?

「あがりん」が震えあがるのはどんな時ですか?

生態調査が終わったら、では「あがりん」を弱らせるためにあなたはどんなことができますか?

そうしていろんな案を出していき出来そうなことをやっていくのです。

これは誰かと共同で考えていくプロセスこそが治療的であり、望ましいことではないかと思います。